ISEGORIA / 数学百科事典
熱力学:エネルギー・仕事・エントロピー
PV経路・可逆極限・エントロピーの流れを調べます。
前提知識: 代数とエネルギー
予想してから操作し、計算例と問いで理解を確かめてください。グラフは数式の図示であり、証明ではありません。
1. PV図とカルノーサイクル
1 mol の単原子理想気体が V₁ = 1 L、圧力 P₁ から出発します。過程を選び、金色の終点をドラッグしてください。曲線は厳密な経路で、その下の塗った面積が仕事 W = ∫P dV です。膨張なら正、圧縮なら負になります。同じ体積変化でも、定圧・等温・熱の出入りなし(断熱)で仕事がどれだけ違うかを比べてください。カルノーサイクルは2本の等温線と2本の断熱線をつないだもので、囲まれた面積が正味の仕事、効率は 1 − Tc/Th です。
計算例. P₁ = 2 bar で 1 L から 3 L へ等温膨張すると W = P₁V₁ ln 3 ≈ 220 J の仕事をし、ΔU = 0 なので同じ量の熱が流れ込みます。
注意点. 経路が重要です。仕事と熱は状態関数ではありませんが、内部エネルギーは状態関数です。曲線はゆっくりした可逆過程と γ = 5/3 を仮定しています。
ここで経路に依存する量は?
内部エネルギーと違い、仕事と熱です。
2. エントロピーと可逆性
熱容量 C の物体を Tc から Th まで加熱します。温度 Th の熱源1つに触れさせる(N = 1、急な跳躍)か、等間隔の温度をもつ N 個の熱源を順に使います。左のグラフでは、物体の 1/T 曲線の下の面積が物体のエントロピー増加、階段の下の面積が熱源の失うエントロピーです。その間の橙の細片が生成エントロピーです。熱源を増やすと、細片も合計 ΔS_univ も0に近づきます。これが可逆極限です。
計算例. 1 kJ/K の物体を 600 K の熱源1つで 300 K から 600 K まで加熱すると、ΔS_univ = 1000(ln 2 − 1/2) ≈ 193 J/K です。
注意点. 可逆過程は理想極限で、速い実用操作ではありません。
不可逆なエントロピー生成の向きは?
宇宙全体では非負です。
3. 状態方程式
理想気体の物質量・温度・体積を変えて圧力を読みます。左では分子の数が n、箱の幅が V、速さが √T に従います。右では金色の点がこの温度の等温線上にあり、ドラッグすると体積が変わります。原点から点までの長方形の面積は PV で、等温線上のどこでも nRT に等しくなります。
計算例. 1 mol、300 K、25 L なら P = nRT/V ≈ 99.8 kPa で、ほぼ1気圧です。n と V を固定して T を2倍にすると P も2倍です。
注意点. 実在気体は相転移や高密度でずれます。
示強変数はどれですか?
温度と圧力です。nとVは系の大きさに比例します。