ISEGORIA / 数学百科事典
変分法:経路と原理
極値経路・作用・測地線を可視化します。
前提知識: 微積分と力学
予想してから操作し、計算例と問いで理解を確かめてください。グラフは数式の図示であり、証明ではありません。
1. オイラー・ラグランジュ方程式
t = 0 で投げ上げ、t = 1 で同じ高さで受け止めるボールを考えます。ラグランジアンは L = ½q̇² − gq です。両端を固定したまま試行経路 q* + εη を停留経路から曲げ、変分 η の形を選びます。作用 S(ε) はどの形でも ε = 0 で傾きが 0 になります。下の帯はその理由を示します。オイラー・ラグランジュ方程式の残差 q̈ + g が 0 になるのは停留経路だけです。
計算例. L = ½q̇² − gq なら方程式は q̈ = −g で、q(0) = q(1) = 0 のもとで停留経路は q* = ½g t(1 − t)、g = 8 では 4t(1 − t) です。
注意点. 停留は必ずしも大域的最小を意味しません。
何を変分するのですか?
端点を固定したまま経路q(t)全体を変えます。
2. 球面上の測地線
2つの都市が同じ緯度にあります。経度・緯度の地図では両者を結ぶ緯線は直線ですが、最短経路ではありません。ハンドルをドラッグして、緯線から大円を経てさらに先まで続く経路の族の中で経路を変形します。長さは大円で停留し最小になります。大円は地図上では近い方の極へ膨らみます。
計算例. 緯度 40°、経度差 100° では、緯線の長さは単位球面上で 1.337(地球上で約 8,520 km)、大円は 1.254(約 7,990 km)です。
注意点. 座標上の直線が幾何学的に直線とは限りません。
地図上で最短経路が曲がって見えるのはなぜですか?
地図は東西方向の距離を 1/cos φ 倍に引き伸ばしているので、経度1度が短くなる極の方へ寄ると経路が短くなるからです。
3. 最小作用の原理
調和振動子 L = ½q̇² − ½q² が q(0) = 0 から q(T) = 1 まで運動します。古典経路に変分 ε·sin(kπt/T) を加え、3つの k について作用の変化を比べます。T < π ではどの変分も作用を上げます。T が最初の共役点 π を越えると最も遅い変分が作用を下げます。古典経路は停留したままですが、最小ではなく鞍点になります。
計算例. T = 3π/2、k = 1 では係数が (3π/8)(4/9 − 1) ≈ −0.65 なので、δS = 0 であってもこの変分に沿って作用は減少します。
注意点. 「最小作用」は略称で、作用は必ずしも最小ではなく停留します。
変分で固定するものは?
端点と時間区間です。