ISEGORIA / 数学百科事典
関数解析:ノルム・射影・作用素
ノルム・直交射影・小さな作用素のスペクトルを比較します。
前提知識: 線形代数と実解析
予想してから操作し、計算例と問いで理解を確かめてください。グラフは数式の図示であり、証明ではありません。
1. ノルムと単位球
p を変え、単位球が p = 1 のひし形から p = 2 の円を経て p = ∞ の正方形へ移る様子を見ます。ベクトル x をドラッグすると、その p ノルムは x に届くまで球を拡大する倍率であり、右の図はこの値が p とともに減少することを示します。p = 1 未満では球は凸でなくなります。
計算例. \(p=2\)では単位球はユークリッド円です。
注意点. p < 1 でも式は単位球を定めますが、三角不等式が成り立たないのでノルムではありません。p = ∞ の正方形は最大ノルムとして正確に描いています。
どの単位球の角が最も尖っていますか?
\(p=1\)のひし形です。
2. 直交射影
ベクトル v と直線の向きをドラッグします。射影は直線上で v に最も近い点で、v を中心とする最小の球が直線に接する点です。重み w = 1 では内積は通常の内積で、残差は垂直に見えます。w を上げると球は楕円になり、v と直線の図は同じでも射影が動きます。
計算例. 残差は部分空間に直交します:\(\langle v-\operatorname{proj}_u v,u\rangle=0\)。
注意点. 射影は図の方向だけでなく、選んだ内積にも依存します。
射影で何が0になりますか?
残差と方向の内積です。
3. 作用素のスペクトル
作用素 A は、60°離れた2本の固有ベクトルに沿って固有値 λ₁ と λ₂ をもちます。ドラッグしたベクトルに繰り返し作用させると、各固有方向に |λ| 倍ずつ伸びるので、Aⁿx と単位円の像は絶対値の最も大きい固有値の固有直線へ向かっていきます。右の図は A − λI の最小特異値で、固有値でちょうど0になります。そこで A − λI は可逆でなくなります。
計算例. \(\lambda_1=1.2\)、\(\lambda_2=0.5\)、固有ベクトル \(e_1=(1,0)\)、\(e_2=(\cos 60^\circ,\sin 60^\circ)\) とし、\(x=a e_1+b e_2\) と書きます。すると \(A^n x=1.2^n a\,e_1+0.5^n b\,e_2\) です。4回の作用で \(e_2\) 成分は \(1/16\) に縮み、\(e_1\) 成分は \(1.2^4\approx 2.07\) 倍に伸びるので、\(A^4x\) は \(e_1\) の直線のすぐ近くにあります。
注意点. 有限行列のスペクトルは、無限次元作用素の豊かなスペクトルを表す教育用の近似です。
固有値が0を横切ると何が起こりますか?
その固有方向で作用素の可逆性が失われます。