ISEGORIA / 数学百科事典
制御理論:フィードバック・極・安定性
極の位置とステップ応答・PID フィードバック・ボード線図とナイキスト線図を扱います。
前提知識: 力学系と複素解析
予想してから操作し、計算例と問いで理解を確かめてください。グラフは数式の図示であり、証明ではありません。
1. 極が応答を決める
二次系は複素 s 平面に一対の極を持ちます。上の極をドラッグしてください(鏡像の極もついてきます)。左へ動かすと応答は速く落ち着き、上へ動かすと速く振動し、右半平面へ入ると発散します。
計算例. \(\sigma<0\) ではオーバーシュートは \(e^{\pi\sigma/\omega}\) で、虚軸から見た極の角度だけで決まります。包絡線は \(e^{\sigma t}\) のように減衰します。
注意点. 定常ゲインは 1 に正規化しています。実際の系には零点や他の極があり形は変わりますが、右半平面の極が不安定を意味するという規則は変わりません。
どの極の位置が同じオーバーシュートを与えますか?
原点から出る同じ半直線上のすべての極です。オーバーシュートは \(\sigma/\omega\) だけで決まるからです。
2. PID フィードバック
鈍い三次のプラントが目標値のステップに追従しなければならず、t = 15 で負荷外乱が加わります。比例・積分・微分ゲインを調整してください。小さな図は閉ループの四つの極を示すので、ある調整がなぜ振動したり不安定になったりするのかが分かります。
計算例. 積分項がなければ一定の外乱は恒久的な誤差を残します。ループが安定である限り、\(K_i>0\) ならその誤差は 0 になります。
注意点. 微分は誤差ではなく測定値にかけているので、目標値のステップで微分キックは起きません。アクチュエータの制限はモデル化していません。
なぜゲインが大きすぎると安定なプラントが不安定になるのですか?
プラントの位相遅れは最大 270° に達します。遅れが 180° になる周波数で十分なゲインがあると、負帰還が正帰還に変わります。
3. ボード線図とナイキスト線図
ループ伝達関数を二通りに描きます。周波数に対するゲインと位相として、そして複素平面上の一本の曲線としてです。ゲインを上げたり遅れを加えたりしてください。ナイキスト曲線が −1 を囲むと閉ループは不安定になります。これはボード線図で位相 −180° のときにゲインが 1 を超えるのとちょうど同じ時です。式の N は −1 を時計回りに囲む回数、P は開ループの右半平面の極の数、Z は閉ループのそれです。P = 0 なので、閉ループが安定なのは N = 0 のときにほかなりません。
計算例. 遅れがないとき位相は \(\omega=\sqrt3\) で \(-180^\circ\) を横切り、そこで \(|L|=K/8\) です。ゲイン余裕は \(8/K\) なので、\(K=8\) が安定の境界です。
注意点. このプラント自体は安定なので、囲まないという簡単な規則が使えます。不安定なプラントには、囲む回数を数える完全なナイキスト判定が必要です。
なぜ遅れはナイキスト曲線を渦巻きにするのですか?
遅れはゲインを変えずに位相 \(-\omega\tau\) を加えるので、\(\omega\) が増えると曲線は半径を縮めながら回り続けます。