ISEGORIA / 数学百科事典
確率過程:ブラウン運動とノイズ
ランダムウォークからブラウン運動へのスケーリング・二次変分・フォッカー・プランク方程式に従う密度を扱います。
前提知識: 確率・測度論・マルコフ連鎖
予想してから操作し、計算例と問いで理解を確かめてください。グラフは数式の図示であり、証明ではありません。
1. ランダムウォークからブラウン運動へ
コイン投げの歩みを n 回とり、時間を n 分の 1、空間を √n 分の 1 に縮めます。n を増やすと経路は階段に見えなくなり、一つの普遍的なランダム曲線に見え始めます。拡大してください。時間を 4 分の 1、空間を 2 分の 1 にした部分は、統計的に全体と同じに見えます。
計算例. \(t=1\) での終点のヒストグラムは標準正規密度に近づきます。影の帯は \(\pm\sqrt t\) と \(\pm2\sqrt t\) です。
注意点. ドンスカーの定理は経路全体の分布収束です。シミュレーションした個々の経路は、十分細かく見ればやはり階段です。
空間を n ではなく √n で縮めるのはなぜですか?
独立な ±1 の歩み n 回の分散は n なので、\(\sqrt n\) で割るのが終点の分散を 1 に保つ唯一の選び方だからです。
2. 二次変分
[0, 1] を 2^m 個に分け、ブラウン経路の増分を二通りに足し合わせます。増分の絶対値の和は際限なく増えるので、経路の長さは無限です。一方、増分の二乗の和はちょうど t に落ち着きます。この一つの事実 dB² = dt こそ、確率解析に追加の項が必要な理由です。
計算例. \(B\,\Delta B\) の左端点(伊藤)和は \(\tfrac12(B_1^2-1)\) に、中点(ストラトノヴィッチ)和は \(\tfrac12B_1^2\) に近づきます。読み取り欄で両方を計算します。
注意点. 経路は \(2^{14}\) 点で標本化されているので、\(m=14\) がデータで示せる最も細かい分割です。それより細かくは直線補間になります。
滑らかな曲線では、二乗の和はどうなりますか?
0 に近づきます。各増分の二乗は \(O(\Delta t^2)\) で、それが \(1/\Delta t\) 個しかないからです。
3. 経路とその密度
オルンシュタイン・ウーレンベック過程の粒子は 0 へ引き戻されながらノイズに揺さぶられます。個々の経路がさまよう一方で、それらが作る密度は決定論的な方程式に従います。時刻の断面をドラッグしてください。シミュレーション経路のヒストグラムは厳密なガウス解と一致します。
計算例. \(x_0\) から出発すると \(X_t\sim\mathcal N\!\bigl(x_0e^{-\theta t},\ \tfrac{\sigma^2}{2\theta}(1-e^{-2\theta t})\bigr)\) です。\(\theta=0\) では分散 \(\sigma^2t\) のブラウン運動になります。
注意点. 経路は小さな各刻みで厳密なガウス遷移を使うので離散化の偏りはなく、600 本の経路による標本誤差だけがあります。
長時間後の分散はいくらですか?
\(\sigma^2/(2\theta)\) です。ノイズが分散を注ぎ込む働きと、ドリフトが引き戻す働きの釣り合いです。