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ISEGORIABenjamin Haire
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ISEGORIA / 数学百科事典

双曲幾何:平行線が増える世界

ポアンカレ円板の距離、角の和が π に届かない三角形、平面には収まらないタイリングを扱います。

前提知識: 複素数と微分幾何

予想してから操作し、計算例と問いで理解を確かめてください。グラフは数式の図示であり、証明ではありません。

1. 距離と直線、そしてたくさんの平行線

ポアンカレ円板では、直線は縁と直角に交わる円弧で、縁そのものは無限に遠くにあります。P と Q をドラッグしてください。点は双曲的な長さで等間隔に並び、縁に向かって詰まっていきます。次に R を直線の外へドラッグしてください。R を通る極限平行線が二本あり、さらに PQ と決して交わらない直線が無数にあります。ユークリッドの平行線公準は成り立ちません。

計算例. 中心から見て、ユークリッド半径 \(r\) の点までの双曲距離は \(2\operatorname{artanh}r=\ln\frac{1+r}{1-r}\) です。\(r=0.9\) では \(\ln 19\approx2.94\) で、縁までは無限の距離です。

注意点. この円板は角度を正しく表しますが、長さは表しません。縁の近くの弧は短く見えても実際は長いのです。モデルが等角的なので、角 \(\Pi\) は図からそのまま読み取れます。

R が直線にごく近いとき、Π(d) はどうなりますか?

90° に近づき、二本の極限平行線はユークリッドのただ一本の平行線に重なります。双曲平面の小さな領域はユークリッド的に見えます。

参考文献: Cannon, Floyd, Kenyon, Parry · Hyperbolic Geometry (Flavors of Geometry, MSRI)

2. 三角形:角の和が足りない

測地三角形の頂点をドラッグしてください。角の和はいつも π より小さく、その不足分はちょうど面積に等しくなります。曲率が一定値 −1 の曲面に対するガウス・ボネの定理です。再生を押すと、三角形が点から成長します。ごく小さな三角形はほぼユークリッド的で、大きくなるにつれて欠損が現れます。

計算例. 三つの頂点がすべて縁にある三角形(理想三角形)は三つの角がすべて 0 なので、面積はちょうど \(\pi\) です。これはどの双曲三角形の面積よりも大きな値です。

注意点. ここでの面積は双曲的な面積で、画面上の塗られた部分のユークリッド面積ではありません。曲率が \(-K\) なら、規則は \(\alpha+\beta+\gamma=\pi-K\cdot\operatorname{Area}\) になります。

角が同じで大きさの違う双曲三角形はありますか?

ありません。角が面積を決め、さらに三角形を等長変換を除いて決めてしまいます。大きさだけが違う相似な三角形は存在しません。

参考文献: Cannon, Floyd, Kenyon, Parry · Hyperbolic Geometry (Flavors of Geometry, MSRI)

3. 正則タイリング {p, q}

p と q を選んでください。タイリング {p, q} は正 p 角形を使い、各頂点に q 枚が集まります。平面では {3, 6}、{4, 4}、{6, 3} しかありませんが、双曲平面では 1/p + 1/q < 1/2 を満たすどの組でも可能です。図は、すべての点を角が π/p、π/2、π/q の一つの三角形へ鏡映で折り返して描いています。金色の中心をドラッグすると、円板の等長変換でタイリング全体が動きます。

計算例. \(\{7,3\}\) では、角が 120° の七角形が各頂点に三枚集まります。一枚の面積は \(5\pi-\tfrac{14\pi}{3}=\tfrac{\pi}{3}\) です。

注意点. 二つの濃淡は鏡像の三角形を示すもので、別々のタイルではありません。一枚のタイルは \(2p\) 個の三角形からできています。縁の近くでタイルがぼやけるのは、この図で一画素より小さくなるからで、タイル自体が変わるからではありません。

{7, 3} が平面を敷き詰められないのはなぜですか?

平面の正七角形の角は \(900^\circ/7\approx128.6^\circ\) で、三つ合わせると 360° を超えます。多角形の角を 120° まで小さくできるのは負の曲率だけです。

参考文献: Cannon, Floyd, Kenyon, Parry · Hyperbolic Geometry (Flavors of Geometry, MSRI)

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