ISEGORIA / 数学百科事典
楕円曲線:足し算ができる幾何
点が群をなす三次曲線:弦と接線による加法、有限体上の曲線、そしてどの曲線の背後にも隠れているトーラスを扱います。
前提知識: 群論・合同算術・複素数
予想してから操作し、計算例と問いで理解を確かめてください。グラフは数式の図示であり、証明ではありません。
1. 定規で点を足す
三次曲線上の二点を通る直線は、重複度を込めてちょうどもう一点で曲線と交わります。その三つ目の点を x 軸で折り返したものを P + Q と呼びます。P と Q を曲線に沿ってドラッグし、2P に切り替えると代わりに接線を使います。(a, b) 平面で尖点状の判別式曲線を横切ると、曲線が二つに分かれたり一つにまとまったりします。
計算例. \(y^2=x^3-2x+1\) で \(P=(0,1)\)、\(Q=(1,0)\) とします。\(\lambda=-1\)、\(x_{P+Q}=1-0-1=0\)、\(y_{P+Q}=-1\cdot(0-0)-1=-1\) なので \(P+Q=(0,-1)=-P\) です。これは整合的です。\(Q\) の位数は 2 で、\(P\) と \(Q\) を通る直線は \(P\) で曲線に接しています。
注意点. 単位元は無限遠点 O で、すべての垂直な直線がそこで曲線と交わります。結合法則は図からは明らかではなく、三次曲線に関するケイリー・バカラックの定理から従う定理です。
2P = O になるのはいつですか?
P での接線が垂直になるとき、つまり \(y_P=0\) のときです。そのような点は \(x^3+ax+b\) の実根なので、O 以外に一つか三つあります。
2. 有限体上の同じ曲線
実数を p を法とする整数に置き換えます。曲線は y ↔ −y の対称性を保った有限個の点の散らばりになり、同じ公式で点を足せます。ハッセは、点の個数が p + 1 から 2√p より大きくずれないことを証明しました。ヒストグラムはこの p のすべての曲線を数えたものです。G, 2G, 3G, … の歩みは、掛け算を逆にたどるのがなぜ難しいかを示します。
計算例. \(p\equiv3\pmod 4\) のときの \(y^2=x^3+x\) では、置き換え \(x\mapsto-x\) がすべてのルジャンドル記号の符号を反転させるので和は 0 になり、ちょうど \(\#E=p+1\) です。\(p=23\) で \(a=1,\ b=0\) を試すと、点は 24 個です。
注意点. ヒストグラムに重ねた半円は極限の形です。バーチは 1968 年に、p を法とするすべての曲線にわたって、正規化したトレースのモーメントが p の増大とともに半円のモーメントに近づくことを示しました。p が小さいうちは一致は粗いものです。
G の位数が #E を割り切らなければならないのはなぜですか?
G の倍数全体は点の群の部分群をなし、ラグランジュの定理により部分群の大きさは群の大きさを割り切るからです。
3. 複素曲線はどれもトーラス
複素数の上では楕円曲線はドーナツ、つまり周期の格子に沿って平面を丸めたものです。ワイエルシュトラスの関数 ℘ は格子ごとに繰り返し、トーラスの点 z を曲線上の点 (℘(z), ℘′(z)) に写します。℘ が実数になる二本の線に沿って u と v をドラッグしてください。トーラス上で u と v を足すこと、つまり複素数を足すだけのことが、P と Q を通る弦の予言する点にちょうど一致します。
計算例. 正方格子 \(\tau=i\) では \(z\mapsto iz\) に関する対称性から \(g_3=0\) となり、\(g_2=\tfrac{4\pi^4}{3}E_4(i)\approx189.07\) です。曲線は \(x=0\) について対称な \(y^2=4x^3-189.07\,x\) です。
注意点. \(g_2\) と \(g_3\) が実数になって曲線を実平面に描けるように、長方形の格子だけを扱っています。色づけは複素関数 ℘ の図で、右の曲線はその実数点だけを表します。
℘ が各格子点に二位の極を持ち、それ以外に極を持たないのはなぜですか?
各項 \(1/(z-\omega)^2\) の極は \(\omega\) だけで、引いた定数が和を収束させます。一周期に単純極を一つだけ持つ二重周期関数は、一周期の留数の和が 0 でなければならないので存在せず、二位の極が最も簡単な可能性です。