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ISEGORIABenjamin Haire
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Daily Mathematics / 解答

2026年10月17日の解答

この日のカードは難しい定積分とオリジナルのパトナム型の問題の2枚である。まず自分で考え、詰まったら解答を開くこと。

積分

双曲線正割に有理関数の重みをつけた積分

カード: 双曲線正割に有理関数の重みをつけた積分

次の積分を閉じた形で求めよ。

\[\int_{0}^{\infty}\frac{dx}{(1+4x^{2})\cosh \pi x}\]
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素直な方法が厄介な理由。 留数計算は可能だが煩雑である。\(1+4x^{2}\) と \(\cosh \pi x\) はともに \(x=i/2\) で零になるのでこの極は二位であり,さらに \(\operatorname{sech}\pi x\) は \(x=i(k+\tfrac12)\) に無限個の極をもつ。\(\operatorname{sech}\pi x=2\sum_{k\ge0}(-1)^{k}e^{-(2k+1)\pi x}\) と展開しても,残る積分 \(\int_0^\infty e^{-bx}\,dx/(1+4x^{2})\) は初等的でない。見通しのよい方法は,二つの因子がどちらも簡単なフーリエ変換をもつことに着目することである。

第1段:全実軸へ。 被積分関数は偶関数であるから,\(f(x)=\dfrac{1}{1+4x^{2}}\),\(g(x)=\operatorname{sech}\pi x\) とおけば \(I=\tfrac12\int_{-\infty}^{\infty}f(x)g(x)\,dx\) である。どちらも \(L^{1}\cap L^{2}\) に属する。

第2段:二つの変換。 \(\hat h(\omega)=\int_{-\infty}^{\infty}h(x)e^{-i\omega x}\,dx\) とおく。\(\int e^{-i\omega x}\,dx/(1+x^{2})=\pi e^{-|\omega|}\) と変数変換 \(x\mapsto 2x\) により \(\hat f(\omega)=\tfrac{\pi}{2}e^{-|\omega|/2}\) を得る。双曲線正割については \(u=e^{2t}\) とおくと,実数 \(|s|<1\) に対して

\[\int_{-\infty}^{\infty}\frac{2e^{st}}{e^{t}+e^{-t}}\,dt=\int_{0}^{\infty}\frac{u^{(s-1)/2}}{1+u}\,du=\frac{\pi}{\sin\frac{\pi(s+1)}{2}}=\frac{\pi}{\cos\frac{\pi s}{2}}\]

が成り立つ。両辺は帯領域 \(|\operatorname{Re}s|<1\) で正則であるから等式はそこで成り立ち,\(s=-i\xi\) とおけば \(\int e^{-i\xi t}\operatorname{sech}t\,dt=\pi\operatorname{sech}(\pi\xi/2)\) を得る。\(t=\pi x\) と置換すれば \(\hat g(\omega)=\operatorname{sech}(\omega/2)\) である。

第3段:パーセバルの等式。 二つの変換はともに実数値の偶関数であるから

\[\int_{-\infty}^{\infty}f g\,dx=\frac{1}{2\pi}\int_{-\infty}^{\infty}\hat f(\omega)\,\hat g(\omega)\,d\omega=\frac{1}{2\pi}\cdot 2\int_{0}^{\infty}\frac{\pi}{2}e^{-\omega/2}\operatorname{sech}\frac{\omega}{2}\,d\omega=\frac12\int_{0}^{\infty}e^{-\omega/2}\operatorname{sech}\frac{\omega}{2}\,d\omega\]

となる。

第4段:最後の積分。 \(u=e^{-\omega/2}\) とおくと \(d\omega=-2\,du/u\),\(\operatorname{sech}(\omega/2)=2u/(1+u^{2})\) であるから

\[\frac12\int_{0}^{1}u\cdot\frac{2u}{1+u^{2}}\cdot\frac{2\,du}{u}=2\int_{0}^{1}\frac{u\,du}{1+u^{2}}=\ln 2\]

を得る。よって全実軸上の積分は \(\ln 2\) であり,\(I=\tfrac12\ln 2\) である。

検算。 区間 \([0,30]\) 上で 100 点ガウス・ルジャンドル求積を 40 分割と 200 分割で行い(それより先の寄与は \(e^{-90}\) 未満である),\(\tfrac12\ln 2=0.346573590279972\ldots\) と \(3\times10^{-16}\) 以内で一致することを確かめた。

答え. \(\dfrac{\ln 2}{2}\)

競技数学の問題

2027 を法とする平方数にわたる積

カード: 2027 を法とする平方数にわたる積

\(2027\) は素数である。次の積の値を求めよ。

\[\prod_{k=1}^{1013}\Bigl(1+e^{2\pi i k^{2}/2027}\Bigr)\]
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\(p=2027\),\(h=(p-1)/2=1013\),\(\zeta=e^{2\pi i/p}\) とおく。\(2024=8\cdot 253\) であるから \(p\equiv 3\pmod 8\) である。

第1段:指数は平方剰余を一度ずつとる。 \(1\le j,k\le h\) で \(k^{2}\equiv j^{2}\pmod p\) ならば \(p\mid (k-j)(k+j)\) であり,\(2\le k+j\le p-1\) であるから \(k=j\) である。よって \(k^{2}\) は 0 でない \(h\) 個の平方剰余をちょうど一度ずつとる。平方剰余全体を \(R\),非剰余全体を \(N\) とする(ともに \(h\) 個)と,積は \(P=\prod_{r\in R}(1+\zeta^{r})\) である。

第2段:倍角の恒等式。 \(p\nmid r\) のとき \(1+\zeta^{r}=\dfrac{1-\zeta^{2r}}{1-\zeta^{r}}\) であり,分母は 0 でない。\(p\equiv 3\pmod 8\) より \(2\) は非剰余であるから,\(r\mapsto 2r\) は \(R\) から \(N\) への全単射である。したがって

\[P=\frac{B}{A},\qquad A=\prod_{r\in R}(1-\zeta^{r}),\quad B=\prod_{n\in N}(1-\zeta^{n})\]

を得る。

第3段:複素共役。 \(p\equiv 3\pmod 4\) より \(-1\) は非剰余であるから \(N=-R\) であり,\(B=\prod_{r\in R}(1-\zeta^{-r})=\overline{A}\) となる。ゆえに \(P=\overline{A}/A\) は絶対値 1 であり,問題は \(A\) の偏角だけである。

第4段:偏角。 代表元を \(r\in\{1,\dots,p-1\}\) にとる。\(1-e^{i\theta}=-2i\sin(\theta/2)\,e^{i\theta/2}\) かつ \(\sin(\pi r/p)>0\) であるから

\[A=(-2i)^{h}\Bigl(\prod_{r\in R}\sin\frac{\pi r}{p}\Bigr)e^{i\pi S/p},\qquad S=\sum_{r\in R}r\]

となり,\(\overline{A}/A=\bigl(\overline{-2i}/(-2i)\bigr)^{h}e^{-2\pi i S/p}=(-1)^{h}e^{-2\pi i S/p}\) を得る。

第5段:剰余の和。 代表元は順序を除いて \(1^{2},\dots,h^{2}\) と合同であるから,\(S\equiv\sum_{k=1}^{h}k^{2}=\dfrac{h(h+1)(2h+1)}{6}=\dfrac{h(h+1)p}{6}\pmod p\) である。\(\gcd(6,p)=1\) より \(6\mid h(h+1)\) であり,\(p\mid S\),すなわち \(e^{-2\pi i S/p}=1\) である。

結論。 \(h=1013\) は奇数であるから \(P=(-1)^{1013}=-1\) である。同じ議論により,\(p>3\) かつ \(p\equiv 3\pmod 4\) をみたす任意の素数に対し,積はルジャンドル記号 \((2/p)\) に等しい。\(2\) が剰余のときは第2段から直ちに \(P=1\) となる。

検算。 \(p=2027\) および \(200\) 未満で \(p\equiv 3\pmod 4\) をみたすすべての素数について積を浮動小数点で直接計算し,いずれも \(10^{-9}\) 以内で \((2/p)\) に一致すること,特に \(p=2027\) では \(-1\) であることを確かめた。

答え. \(-1\)

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