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ISEGORIABenjamin Haire
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ISEGORIA
ルベーグ積分とリーマン積分

同じ積分を、異なる集め方で。

リーマン積分は近い入力をまとめます。ルベーグ積分は同じ、あるいは近い出力をまとめ、それが現れる集合を測ります。同じ面積にたどり着く仕組みと、定義の違いが重要になる場面を探りましょう。

01 / リーマン

入力区間を分け、高さを選びます。

標本点による和: \(S(P,f)=\sum_{i=1}^n f(\xi_i)(x_i-x_{i-1})\)

絶対誤差:

青い点は標本点です。有限の和は近似であり、可積分性の定義そのものではありません。

02 / ルベーグ

値を分け、それぞれの逆像を測ります。

単関数による下側の和: \(\int s\,d\mu=\sum_k a_k\,\mu(E_k)\)

保証された上界:

オレンジ色の柱は、各帯の下端へ切り下げた単関数です。横方向の薄い帯は選択した値の範囲、軸上の太線はその逆像です。

正確な積分値(両定義で一致):

この実験では \(0\le f\le1\) で、値の帯の幅は \(\frac1n\) です。最後の帯には値 1 も含めます。測度 1 の定義域上で \(0\le f-s\le 1/n\) なので、\(\int s\,d\mu\le\int f\,d\mu\le\int s\,d\mu+\frac1n\) となります。細分化は二等分を繰り返します。集合の長さは解析的に計算し、表示値は丸めています。

図が表していること

01 / リーマン

リーマン積分では \(a=x_0<\cdots<x_n=b\) と区間を分割し、各小区間から標本点 \(\xi_i\) を選んで和 S を作ります。有界関数がリーマン可積分であるとは、小区間の最大幅を 0 に近づけたとき、すべての標本点付きの和が同じ有限値に近づくことです。中点和の一つの列が収束するだけでは不十分です。

\(S(P,f)=\sum_{i=1}^n f(\xi_i)(x_i-x_{i-1})\)

02 / ルベーグ

ルベーグ積分は、互いに素な可測集合 \(E_k\) 上の非負可測単関数 \(s=\sum_k a_k\mathbf{1}_{E_k}\) から始めます。その積分は \(\sum_k a_k\mu(E_k)\) です。集合は区間でなくてもかまいません。可測関数 \(f\ge0\) に対して、\(0\le s\le f\) を満たす単関数の積分の上限を \(\int f\,d\mu\) と定義します。値が無限大になることもあります。

\(\int s\,d\mu=\sum_k a_k\,\mu(E_k)\)
関連する見方:水平な層

非負可測関数 f には、層別表示 \(\int f\,d\mu=\int_0^\infty\mu(\{x:f(x)>t\})\,dt\) が成り立ちます。これは「層の厚さ × 超水準集合の長さ」を足す表現です。互いに素な値の帯に下端の値を掛ける方法とは区別してください。ルベーグ積分は、単に x と y を交換する操作ではありません。

リーマン積分が存在しない例

\([0,1]\) 上で、x が有理数なら \(D(x)=1\)、無理数なら \(D(x)=0\) と定めます。これは関数の定義であり、コンピューターで忠実に描ける曲線ではありません。

どの小区間にも両方の点があります。

\(L(P,D)=0\ne1=U(P,D)\)

ダルブーの下和は常に 0、上和は常に 1 です。有理数を標本点にすれば和は 1、無理数なら 0 となり、どれほど細分しても一致しません。リーマン積分は存在しません。

有理数全体の測度は 0 です。

\(\int D\,d\mu=0\)

\([0,1]\) の有理数は可算で、各一点のルベーグ測度は 0 です。可算加法性から \(\mu(\mathbb Q\cap[0,1])=0\)。したがって \(\int D\,d\mu=1\cdot0=0\) です。

測度 0 は「空」を意味しません

有理数を \(q_1,q_2,\ldots\) と列挙します。任意の \(\varepsilon>0\) に対し、\(q_j\) を長さ \(\varepsilon/2^j\) の区間で覆います。すべての有理数を覆う区間の長さの合計は高々 \(\varepsilon\) です。\(\varepsilon\) をいくらでも小さくできるので測度は 0 です。稠密性と測度は、異なる性質を表します。

二つの積分が一致する条件

コンパクト区間上の有界関数がリーマン可積分であることと、その不連続点の集合のルベーグ測度が 0 であることは同値です。リーマン可積分ならルベーグ可積分でもあり、積分値は一致します。至る所で連続であることは十分条件ですが、必要条件ではありません。

大きな利点:極限を扱う

各点収束だけでは、極限と積分を交換できません。有界な関数列と、集中するスパイクを比べましょう。ここでの積分区間はすべて \([0,1]\) です。

優収束定理

可測関数 \(f_n\) が f にほとんど至る所で収束し、単一の可積分関数 \(g\ge0\) に対して \(|f_n|\le g\) がほとんど至る所で成り立つなら、f は可積分で \(\int f_n\,d\mu\to\int f\,d\mu\) です。同じ g がすべての n に使える必要があります。

単調収束定理

可測関数が \(0\le f_n\le f_{n+1}\) を満たし、f にほとんど至る所で収束するなら、\(\int f_n\,d\mu\) は \(\int f\,d\mu\) へ単調に増加します。\(+\infty\) も許されます。スパイクの列は単調増加ではなく、この仮定を満たしません。

符号付き関数と広義積分

実可測関数 f に対して \(f^+=\max(f,0)\)、\(f^-=\max(-f,0)\) とします。有限のルベーグ積分には \(\int|f|\,d\mu<\infty\) が必要で、積分は \(\int f^+\,d\mu-\int f^-\,d\mu\) です。一方だけが無限大なら拡張値を扱えますが、\(\infty-\infty\) は未定義です。条件収束する広義リーマン積分が、有限のルベーグ積分になるとは限りません。

理解を確かめる

中点和の収束だけでリーマン可積分といえますか?

いいえ。分割の最大幅が 0 に近づくとき、任意の分割と標本点で収束する必要があります。特定の標本点の選び方では、可積分性を妨げる挙動を見落とすことがあります。

零集合上の値を変えてもリーマン可積分性は保たれますか?

必ずしも保たれません。零関数の値をすべての有理数で 1 に変えると、ルベーグ積分は 0 のままですが、得られるディリクレ関数はリーマン可積分ではありません。

スパイクを共通に抑える可積分関数がないのはなぜ?

もし存在すれば、優収束定理から積分は 0 に収束するはずです。しかし積分は常に 1 なので矛盾します。各スパイクは可積分です。不足しているのは、列全体に共通する上界の条件です。

解説を持ち帰る

A4・5ページの補助資料。定義、厳密に計算できる例、零集合の証明、収束定理、解答付きの演習を収録しています。

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参考文献と扱う範囲

以下の大学講義ノートを参照した独自の解説と計算図です。この実験では \([0,1]\) 上の通常のルベーグ測度(長さ)を使います。抽象的な測度や非可測関数は扱いません。