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ISEGORIABenjamin Haire
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インタラクティブ解説

クルトガの中身

芯を一画ごとに九度ずつ回すシャープペンシルは、どう動いているのか。そしてその回転には、どれだけの値打ちがあるのか。

クルトガは芯を尖らせてはいない。芯を左右対称に保っているだけであり、その対称性が細い線につながるかどうかは、ほとんど筆圧で決まる。

三菱鉛筆がこの機構を発売したのは2008年3月で、以来シリーズ累計で一億本を超えている。売り文句は一文で済む。紙から離すたびに芯が少し回るので、片減りせずに均等に減る、というものである。その一文が答えていないことが二つあって、それが知りたかった。直径四ミリの軸の中に回転機構をまるごと収め、落としても壊れないようにするのに、中で何が起きているのか。そしてその効果は持つに値するのか。メーカー自身が公表している数字は、評判よりもずいぶん控えめだからである。

機構

押して、離す。それを繰り返す。外筒は透明に描いてあるので、中の機構が透けて見える。象牙色の二つのリングは固定されていて、その間の色の付いたローターが動く部品である。ローターの白い印と芯の筋を見れば、回転がわかる。ドラッグで鉛筆を回し、スクロールで歯に近づける。摩耗ビューに切り替えれば、回る芯と回らない芯を紙の上で競わせられる。

上カムリング(固定) ローター 下カムリング(固定)

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角度、消費量、芯の太さは摩耗ビューに効く。機構ビューは実物の0.5 mm機構の寸法比でできているので、歯が軸に対してどれほど小さいかもそのままである。

三つのカム、仕掛けは半歯

特許を読む前の理解は間違っていた。しかも、おそらくよくある間違い方だった。ラチェットだと思い込んでいたのである。爪があり、バネがあり、一方向にしか回れない歯車がある、と。そうではない。爪はどこにもなく、ローターが逆向きに回るのを止めている部品も存在しない。

入っているのは三つのリングである。うち二つは軸に固定されたカム形成部材で、上下に一つずつ、それぞれの面に鋸歯が円周に沿って連続して切ってある。その間に挟まっているのがローターで、回ることも上下に滑ることもでき、両端に鋸歯を持つ。動くのはこのローターだけであり、芯をつかむチャックがこれと連結しているので、ローターの動きはそのまま芯の動きになる(Izawa et al., US8328446B2, 優先日2006年;Izawa, Kobayashi and Nakayama, US20100232863A1, 特願2007-278904)。

四つの歯面はすべて同じピッチで切られている。肝心なのは、一方の対が完全に噛み合っているとき、もう一方の対はちょうど半歯ぶんずれている、という点である。筆圧が芯とチャックとローターをバネに逆らって押し戻すと、ローターの上の歯が半歯ずれた状態で上のリングに当たる。噛み合うにはその半歯ぶん回るしかない。ペンを離すとバネがローターを押し戻し、今度は下の歯が半歯ずれた状態で下のリングに当たり、残りの半歯を回って収まる。二つのリングの歯形は互いに鏡像なので、ローターは上下逆向きに押されているにもかかわらず、どちらの半行程でも同じ向きに回る。

つまり一回の押し込みと一回の離しで、ちょうど一歯である。40歯なら9度で、これが「40画で一周」の出どころであり、クルトガアドバンスは歯数を20に半減させて18度を得ている。歯を数えた分解記事の結果も、この計算と合っている(特許庁, 2019;シャー坊, 2023)。三菱鉛筆は書き味が納得できるまでに約五千個の試作を重ね、量産機構の部品点数は22点、普通のシャープペンシルのおよそ倍になった。

送りが距離ではなく筆圧の一周期で決まることから、二つの帰結が出る。どちらも手で確かめられる。短い画も長い画も芯の回る量は同じであり、だから回数はミリメートルではなく画数で数えられている。そして一度もペンを離さずに長い一本の線を引けば、ローターは一度も往復せず、芯はまったく回らない。上の「一画ごとにペンを離す」を切れば、鉛筆は書き続けているのに機構が送りを止めるのが見える。

回らない芯がだめになる理由

鉛筆を一定の角度で持てば、毎回同じ側が紙に当たる。摩耗はその側からだけ芯を削り、紙は円柱を斜めに切る。幾何は書き下せるほど単純で、直径dの芯を紙に対して角度θで持つと、長軸がdをsin θで割った長さの楕円形の平面ができる。0.5 mmの芯を60度で持てば、0.58 mmの平らな面になる。

そこで三つのことが同時に悪くなる。特許はその三つをすべて挙げている。線が太くなる。接触部が点に近いものから芯の全幅まで広がるからである。線が薄くなる。同じ量の黒鉛がより広い面積に延ばされるからである。そしてその平面の先端側は断面のほとんどない羽のように薄い楔になり、次の画で最初に紙に触れ、最初に折れる。

画と画のあいだに芯を少し回せば、紙は毎回新しい方位に新しい面を切る。残るのはそれらすべての切断の共通部分であり、それは芯の軸まわりの円錐になる。円錐の半頂角は自由な変数ではない。鉛筆を持つ角度そのものである。40度で持てば40度の円錐に収束し、これはそれなりに尖っている。80度で持てば80度、つまりほとんど平らな円板になる。まっすぐ立てて持てば円錐は存在せず、回転はまったく何も生まない。角度を88度まで上げれば、シミュレーションがそれを見せてくれる。

回転の値打ち

ここは、機構が立派に見えるだろうと予想して、そうならなかったところである。摩耗ビューはアーチャードの法則で動いている。荷重と滑り距離が決まっていれば、削り取られる体積は接触面積の大小によらず一定だ、という法則である。仮定はこれだけでよく、しかも見落としやすい帰結が一つある。先端は数学的な点には決して収束しない。点では体積が削れないからである。定常状態は先端に小さな平面を持つ円錐であり、その平面の大きさが線の太さを決める。

つまり効き目は競走である。回転は芯を新しい地面に移し、摩耗はいまいる地面に平面を掘る。速いほうが勝つ。そして結果は一定にはほど遠い。

定常状態の線幅。0.5 mmの芯、紙に対して60度。上のシミュレーションによる。
一画あたりの消費回らない芯一画9度一画18度
0.25 µm500 µm164 µm 67%細い125 µm 75%細い
1 µm500 µm318 µm 36%細い241 µm 52%細い
2 µm500 µm416 µm 17%細い330 µm 34%細い
4 µm500 µm490 µm 2%細い416 µm 17%細い
8 µm500 µm500 µm 変わらず490 µm 2%細い

硬い芯で軽く書けば、この機構は劇的に効く。柔らかい芯で強く書けば、一画9度で逃げるより速く平面が掘れてしまい、機構は何も与えてくれない。アドバンスの18度は収束する形を変えるのではなく、そこに達する速さを変えるだけで、値打ちにすればこの表のおよそ一行ぶんである。

シミュレーションからは、どこにも書かれているのを見たことがない結果が二つ出てくる。一つ目は、標準のエンジンは最初の一周のあいだ何の効果も生まないということである。はじめの40画のあいだ、どの切断も前の切断がすでに平らにした地面に落ちるので、線幅は回らない芯とほとんど同じに推移し、そのあとで離れていく。二つ目は復帰にかかる画数である。わざと平面を作ってから回転を始めると、回転時の定常値の一割以内に戻るまで9度で約22画、18度で約12画かかる。三菱鉛筆の開発者はアドバンスの片減りからの復帰を「数画で」と述べていて、やや大まかではあるが桁は合っている。

三菱鉛筆自身が公表している数字は、同じ0.5 mmの芯で、標準のエンジンに比べてHBなら約12%、2Bなら約17%細く書き続けられる、というものである。控えめな数字であり、もっともらしい消費量に対して私のシミュレーションが出す範囲にきちんと収まる。見つけた中でいちばん役に立つ第三者の証言とも矛盾しない。実物の鉛筆と芯で違いを見ようとした評者が、HBでは並べて見比べても判りにくく、2Bでは見えるが控えめだった、と書いている。

正直なまとめはこうなると思う。クルトガは謳っているとおりのことをしており、その謳い文句は評判より小さく、効果の大きさは鉛筆の側では決められないもの、つまり書く人によって大半が決まる。

確かめられなかったこと

三菱鉛筆自身のページには頼っていないので、メーカーに帰した数字はすべて又聞きである。特許庁の広報誌、そのまま転載された報道発表、あるいは開発陣に取材した日本の文具記事を経由している。9度と18度は確かだと見てよい。特許の運動学、独立した二つの分解記事の歯数、メーカーの主張がすべて一致するからである。それ以外でuniに帰した事柄は、一段遠いものとして扱ってほしい。

まったく詰められなかったことが三つある。芯の回る向きは一つの分解記事だけが根拠で、先端側から見て反時計回りとされている。そのように描いてはいるが、確かだとは言えない。クッションの移動量と歯の高さはどちらの特許にも数値がなく、機構ビューのミリメートル値は私の再構成であり、カムがきれいに乗り上げられる最小の値を選んだ。そして人が実際に鉛筆を持つ角度の信頼できる実測値は見つからなかったので、既定の60度は慣習であって実測ではない。

3D表示で機構のまわりにある部品、つまりチャック、バネとその受け座、外筒と口金は、特許が述べる配置に従っているが、寸法と仕上げは私が決めたもので、実物の鉛筆を測ったものではない。

いちばん自信がないのは、結論がいちばん強く依存している値、すなわち一画で実際にどれだけ黒鉛が削れるのかである。だから定数ではなくスライダーにしてある。本物の測定値をご存じなら、ぜひ教えてほしい。

出典

機構は特許から、一画あたりの数値は特許庁の取材記事と独立した二つの分解記事から取っている。摩耗の結果は私のシミュレーションであり、その仮定は本文に書いたとおりである。確認できなかった数字は、丸めて本文に混ぜるのではなく、確認できなかったと書いた。