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ISEGORIABenjamin Haire
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Daily Mathematics / 解答

2026年10月10日の解答

この日のカードは難しい定積分とオリジナルのパトナム型の問題の2枚である。まず自分で考え、詰まったら解答を開くこと。

積分

1 + x の対数の二乗を x で割った積分

カード: 1 + x の対数の二乗を x で割った積分

次の定積分を閉じた形で求めよ。

\[\int_{0}^{1}\frac{\ln^{2}(1+x)}{x}\,dx\]
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積分の値が \(\dfrac{\zeta(3)}{4}\) であることを示す。積分を \(A\) とおく。被積分関数は \(0\) の近くで \(x\) のようにふるまい,\((0,1]\) で連続であるから \(A\) は収束する。

直接の計算が行き詰まる理由。\(\ln^{2}(1+x)\) を \(x\) のべきに展開すると交代オイラー和 \(2\sum_{n\ge2}(-1)^{n}H_{n-1}/n^{2}\) が現れ,その計算こそが問題そのものである。置換 \(t=1/(1+x)\) を用いると今度は \(\operatorname{Li}_3(\tfrac12)\),\(\ln^{3}2\),\(\pi^{2}\ln2\) が現れ,最後にそれらがすべて打ち消し合わなければならない。どちらの道も答えがなぜこれほど簡潔なのかを示さない。要点は \(\ln(1+x)\) を単独で扱うのをやめ,\(\ln(1-x)\) と組にすることである。

第1段:三つの付随する積分。\(a=\ln(1+x)\),\(b=\ln(1-x)\) とおき

\[A=\int_0^1\frac{a^{2}}{x}\,dx,\qquad B=\int_0^1\frac{b^{2}}{x}\,dx,\qquad C=\int_0^1\frac{ab}{x}\,dx\]

と定める。\(0\) の近くでは \(a,b\) はともに \(O(x)\) であり,\(1\) の近くで \(b\) は対数的な特異性しかもたないので \(b^{2}\) と \(ab\) は可積分である。よって三つとも収束する。

第2段:\(B\) の値。\(x=1-u\) とおくと

\[B=\int_0^1\frac{\ln^{2}u}{1-u}\,du=\sum_{n\ge0}\int_0^1u^{n}\ln^{2}u\,du=\sum_{n\ge0}\frac{2}{(n+1)^{3}}=2\zeta(3)\]

を得る。各項は非負であるから単調収束定理により項別積分してよく,\(\int_0^1u^{n}\ln^{2}u\,du=2/(n+1)^{3}\) は部分積分を二回行えば得られる。

第3段:和 \(a+b\)。\(a+b=\ln(1-x^{2})\) であるから,\(u=x^{2}\),\(dx/x=du/(2u)\) と置換して

\[A+2C+B=\int_0^1\frac{\ln^{2}(1-x^{2})}{x}\,dx=\frac12\int_0^1\frac{\ln^{2}(1-u)}{u}\,du=\frac{B}{2}=\zeta(3)\]

を得る。

第4段:差 \(a-b\)。\(a-b=\ln\frac{1+x}{1-x}\) である。\(t=\frac{1-x}{1+x}\) とおくと \(x=\frac{1-t}{1+t}\),\(dx=-\frac{2\,dt}{(1+t)^{2}}\),\(\frac{dx}{x}=-\frac{2\,dt}{1-t^{2}}\) であり,\(x:0\to1\) は \(t:1\to0\) に対応する。したがって

\[A-2C+B=2\int_0^1\frac{\ln^{2}t}{1-t^{2}}\,dt=2\sum_{k\ge0}\frac{2}{(2k+1)^{3}}=4\cdot\frac78\,\zeta(3)=\frac72\,\zeta(3)\]

である。ここで \(\sum_{k\ge0}(2k+1)^{-3}=(1-2^{-3})\zeta(3)\) と,再び単調収束定理を用いた。

第5段:連立一次方程式を解く。第3段と第4段の結果を加えると \(2A+2B=\frac92\zeta(3)\) となるので,\(A=\frac94\zeta(3)-B=\frac94\zeta(3)-2\zeta(3)=\frac{\zeta(3)}{4}\) を得る。副産物として,差をとれば \(C=\int_0^1\frac{\ln(1+x)\ln(1-x)}{x}\,dx=-\frac58\zeta(3)\) も得られる。

検証。\([0,1]\) 上で 100 点のガウス・ルジャンドル求積を 40 区間と 200 区間に分けて適用し,\(\zeta(3)/4=0.30051422578989856\ldots\) を \(2\times10^{-16}\) 以内で再現した。付随する値 \(B=2\zeta(3)\),\(C=-\frac58\zeta(3)\) も,端点の対数特異性を \(u=s^{4}\),\(x=1-s^{4}\) の置換で和らげたうえで同様に計算し,\(3\times10^{-15}\) 以内で確かめた。

答え. \(\dfrac{\zeta(3)}{4}\approx0.3005142258\)

競技数学の問題

2 のべきへの順序つき分割と法 4

カード: 2 のべきへの順序つき分割と法 4

正の整数 \(n\) を \(2\) のべきの和として,順序を区別して表す方法の数を \(f(n)\) とする。例えば

\[3=1+2=2+1=1+1+1\]

より \(f(3)=3\) である。\(f(n)\equiv 3 \pmod{4}\) をみたす正の整数 \(n\) をすべて求めよ。

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\(f(n)\equiv3\pmod4\) となるのは \(n=2^{k}-1\)(\(k\ge2\)),すなわち \(n=3,7,15,31,\dots\) のときに限ることを示す。

直接の計算が行き詰まる理由。表し方を最初の項で分類すると \(f(n)=\sum_{2^{j}\le n}f(n-2^{j})\) を得て,最初の値は \(1,2,3,6,10,18,31,56\) である。数値から答えはすぐに予想できるが,この漸化式による法 \(4\) の帰納法では,まばらで不規則なずれにわたってそれ以前のすべての値の剰余を追わねばならず,偶数の値は法 \(4\) で目に見える規則をもたない。そこで母関数で考える。\(2\) のべきにわたる和の平方は非常によい性質をもつからである。

第1段:母関数。\(f(0)=1\)(空の和)とし,\(F(x)=\sum_{n\ge0}f(n)x^{n}\),\(S(x)=\sum_{j\ge0}x^{2^{j}}\) とおく。上の漸化式は \(F=1+SF\),すなわち \(\mathbb Z[[x]]\) において \((1-S)F=1\) であることを意味する。

第2段:厳密な恒等式。\(S\) を平方すると対角項と交差項に分かれ

\[S^{2}=\sum_{j\ge0}x^{2^{j+1}}+2T=S-x+2T,\qquad T=\sum_{0\le i<j}x^{2^{i}+2^{j}}\]

となる。よって \((1-S)^{2}=1-2S+S^{2}=(1-S)-x+2T\) である。両辺に \(F=(1-S)^{-1}\) を掛けると \(1-S=1-xF+2TF\),すなわち

\[xF=S+2TF\]

を得る。

第3段:偶奇。法 \(2\) で考えると \(xF\equiv S\) であるから,\(f(m)\) が奇数であるのは \(m+1\) が \(2\) のべきであるとき,かつそのときに限る。これは \(m=0\) を含むすべての \(m\ge0\) で成り立つ。

第4段:法 4。\(r\) の二進表記にちょうど二つの \(1\) があるとき \(t_r=1\),そうでないとき \(t_r=0\) とし,\(n\) が \(2\) のべきのとき \(s_n=1\),そうでないとき \(s_n=0\) とする。第2段で \(x^{m+1}\) の係数を比べると

\[f(m)=s_{m+1}+2\sum_{r\le m+1}t_r\,f(m+1-r)\]

である。\(2y\) を \(4\) で割った余りは \(y\) の偶奇だけで決まるから,第3段より \(f(m)\equiv s_{m+1}+2N(m)\pmod4\) を得る。ここで \(N(m)\) は,\(t_r=1\) かつ \(m+2-r\) が \(2\) のべきとなる \(r\) の個数である。\(m+1\) が \(2\) のべきでなければ \(f(m)\equiv2N(m)\in\{0,2\}\pmod4\) となり,\(f(m)\not\equiv3\) である。

次に \(m+1=2^{k}\)(\(k\ge1\))とする。候補は \(0\le j\le k\) に対する \(r=2^{k}+1-2^{j}\) である。\(j=0\) のとき \(r=2^{k}\) の二進表記の \(1\) は一つ,\(j=k\) のとき \(r=1\) も一つである。\(1\le j\le k-1\) のとき,\(2^{k}-2^{j}\) は \(k-j\) 個の \(1\) の後に \(j\ge1\) 個の \(0\) が並ぶので,\(1\) を加えると \(1\) は \(k-j+1\) 個になり,これが \(2\) となるのは \(j=k-1\) のときに限る。したがって \(k\ge2\) ならば \(N(2^{k}-1)=1\),また \(N(1)=0\) である。ゆえに \(k\ge2\) で \(f(2^{k}-1)\equiv1+2=3\pmod4\) であり,\(f(1)=1\) である。以上で主張が示された。

検証。漸化式から \(n\le4100\) のすべての \(f(n)\) を厳密に計算し,\(f(n)\equiv3\pmod4\) となるのがちょうど \(n=3,7,15,\dots,4095\) であること,\(f(n)\) が奇数となるのがちょうど \(n=2^{k}-1\) であることを確かめた。

答え. \(n=2^{k}-1\)(\(k\ge2\)),すなわち \(n=3,7,15,31,\dots\)

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