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ISEGORIABenjamin Haire
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数学 · 体験しながら学ぶガイド

離散の世界

ひとつのセルに規則を与える。そこから世界が広がる。

セル・オートマトンを動かしながら、集合・論理・数え上げ・グラフ・証明を学びます。微積分の知識は必要ありません。

01 / 実験する

ひとつの規則から、多様な世界へ

S = {0, 1}

横一列が、ある時刻の世界です。時間は下に向かって進みます。規則の番号や下の出力を変えると、履歴が再計算されます。

規則表 · 出力を押して変更

入力を 111 から 000 の順に並べます。8つの出力を二進数として読むと、規則の番号になります。

左右:空間 · 下方向:時間
101セル。最上段は第0世代です。塗りつぶしは1、空は0。この実験は有限のモデルです。「両端をつなぐ」では左右が隣り合い、「外側は常に0」では表示範囲外のセルを0に固定します。

02 / 定義する

区別できる小さな要素からなる世界

離散数学は、ビット、整数、集合、ネットワーク、数列など、区別できる対象とその関係を扱います。セル・オートマトンは、これらの考え方を結びつけます。各セルは状態をもち、局所的な規則に従って次の状態へ移り、時間は一段階ずつ進みます。

01

状態

セルの状態は 0(空)か 1(塗りつぶし)。集合 S = {0, 1} の要素です。

02

近傍

セルは周囲の小さな範囲を参照します。ここで扱う一次元の世界では、左・中央・右の3セルです。

03

更新

すべてのセルが同じ世代の状態から次を計算し、一斉に切り替わります。これを同期更新といいます。

03 / つなげる

離散数学の道具箱

模様は学びの入口です。次の5つの考え方で、この仕組みを読み解けます。

01 / 集合

集合とは、異なる要素をまとめたものです。塗られたセルの位置を集めた集合を A としましょう。セルを押すと A が変わります。|A| は要素の個数です。

02 / 論理

論理演算は、真偽値から真偽値を求めます。0を偽、1を真とすると、規則90は「左 XOR 右」です。左右の状態が異なるときに限り、次のセルは1になります。

03 / 数え上げ

入力が k 個のビットなら、入力パターンは 2ᵏ 通り。規則は各パターンに対し0か1を独立に選ぶので、規則の総数は 2^(2ᵏ) 通りです。入力の数と規則の数を区別しましょう。

04 / グラフと関数

グラフは頂点(セル)と辺(隣接関係)からなります。局所規則は関数 f: S³ → S です。これを全セルに適用すると、配置全体を次の配置へ写す関数 F が得られます。

i−1ii+1f

xᵢ(t + 1) = f(xᵢ₋₁(t), xᵢ(t), xᵢ₊₁(t))

時刻 t の3つの状態が、時刻 t + 1 の1つの状態を決めます。影響が及ぶ範囲は、1ステップにつき最大1セル分広がります。

05 / 証明と数学的帰納法

図から予想はできますが、必ず成り立つ理由を示すのが証明です。f(0,0,0) = 0 で、最初は中央だけが1だとします。t ステップ後の1のセルは、中央から距離 t 以内にあります(端を回り込む影響が出る前)。

  1. 出発点:t = 0 では、中央だけが1なので成り立ちます。
  2. 帰納段階:時刻 t で成り立つと仮定します。距離 t + 1 より外のセルは、3つの入力がすべて0なので0のままです。よって時刻 t + 1 でも成り立ちます。

条件が大切です。規則1では f(0,0,0) = 1 なので、空の領域にも直ちに1が生まれます。上で試してみましょう。

04 / 二次元へ

一列の世界から、ライフゲームへ

コンウェイのライフゲームでは、周囲8セルを近傍とします。死んだセルは、生きた隣接セルがちょうど3個なら誕生します。生きたセルは、2個か3個なら生存します。それ以外は次の世代で死んだ状態になります。中央のセル自身は数えません。

32 × 20セル。クリックやタップで状態を反転すると、再生は停止します。キーボードでは下の行・列を選んで編集できます。境界条件を変えると、選択中のパターンに戻ります。

局所的な更新を調べる

周囲8セルと中央を切り替えましょう。中央の次の状態を予想し、結果と比べてください。

05 / 考えを深める

小さな規則から、大きな問いへ

セル・オートマトンは、離散数学と計算、力学系を結びつけます。配置は状態、規則はアルゴリズム、繰り返す更新は状態の列です。全体を指揮する存在がなくても、複雑な振る舞いが生まれます。

有限の世界が、いつか繰り返す理由

N 個の二値セルからなる盤面の配置は 2ᴺ 通りです。決定論的な規則では、各配置の次は一意に決まります。連続する 2ᴺ + 1 個の配置を考えると、少なくとも2つは同じです(鳩の巣原理)。以後の未来も同じになり、周期に入ります。周期1もありえます。この議論は境界条件を固定した有限盤面についてのもので、無限格子の反復を証明するものではありません。

シミュレーションで分かること・分からないこと

有限の実験は、模様を発見したり、反例で一般的な主張を否定したり、予想を立てたりするのに役立ちます。ただし、それだけで模様が永遠に続くとは証明できません。この二値格子は数学的モデルであり、生物の生命をそのまま再現するものではありません。

理解を確かめよう

基本セル・オートマトンの規則は、なぜ8通りではなく256通り?

3ビットの近傍は8通り。それぞれに対し2つの出力から独立に選ぶので、2⁸ = 256 通りです。

同じ配列を順番に書き換えても、同じ結果になる?

一般にはなりません。後のセルが更新済みの隣接セルを読んでしまうからです。同期更新では、次世代用の別の盤面を使います。

初期配置がランダムなら、更新規則もランダム?

いいえ。ランダムなのは初期状態の選び方です。初期状態と規則を固定すれば、その後の変化は決定論的です。