# 第101章・モジュール1補助教材：化学量論への橋渡し

定量的な科学推論のために独自作成した前提知識の演習である。公式試験問題でも、化学の完全な解説でもない。学習領域台帳のC02に対応する。モジュール101-1の単位と比の考え方を応用するが、朗読本文は変更せず、既存カードが化学を網羅するとも主張しない。

## 推論の枠組み

モルで表す物質量は化学種の個数に対応し、質量とは異なる量である。質量を物質量に換算するにはモル質量で割り、単位を確認する。係数を合わせた反応式が示すのは物質量の比であり、一般に質量の比ではない。各反応物から生成可能な生成物の量を計算し、小さい方を選ぶ。必要な反応物の一つが尽きれば、もう一方が余っていても反応を続けられない。

理論収量と測定収量を区別しよう。理論収量は反応式、利用可能な反応物、指定された仮定から求める。測定質量には不純物や残留溶媒が含まれることがある。収率が100パーセントを超えたら、仮定や測定を点検すべきであり、物質の保存が破れた証拠ではない。以下では単純化した反応を提示するので、必要な情報は文章中にそろっている。

## 文章

理想化した反応で、Aが1、Bが2の物質量比で反応し、Cが1生成する。モル質量はAが40グラム毎モル、Bが30グラム毎モル、Cが100グラム毎モルである。ほかの生成物はない。技術者は純粋なAを8.0グラム、純粋なBを9.0グラム混合する。限界反応物は完全に反応し、副反応も反応中の物質の損失もないとする。未反応の出発物質を除いてから生成物を量る。乾燥して単離した生成物の質量は12グラムだった。

2回目はAを同じ8.0グラムとし、Bを2倍にする。3回目は最初と同じ量を用いるが、単離した生成物を乾燥前に量ると16グラムを示した。

## 問題

1. 最初の反応物の質量をモルに換算しよう。8.0グラムと9.0グラムを直接比べても限界反応物を特定できない理由を述べよう。
2. 最初の反応の限界反応物はどれか。Cの最大物質量と最大質量を求めよう。
3. 余るAの物質量と質量を求め、生成物を単離する前の全体の質量収支を確認しよう。
4. 乾燥生成物の単離収率は何パーセントか。単離収率が低いだけで、化学反応が不完全だったと証明できるか。
5. 2回目のCの理論質量はいくらか。Bを2倍にしても、最初の理論収量が2倍にならないのはなぜか。
6. 3回目の見かけの収率を求め、物質の保存と矛盾しない説明を挙げよう。
7. 純粋で乾燥したCを12グラム溶かし、最終体積を0.60リットルとする。モル濃度はいくらか。単離した固体について、どの仮定が必要か。
8. その溶液25ミリリットルを取り、全量100ミリリットルに希釈する。新しい濃度と、移したCの物質量を求めよう。

## 解答と解説

1. Aは8.0を40で割って0.20モル。Bは9.0を30で割って0.30モル。モル質量と反応係数が異なるため、質量だけの比較は適切でない。

2. AからはCを0.20モル生成できるが、Bからは0.30を2で割った0.15モルしか生成できない。Bが限界反応物である。理論質量は0.15に100を掛けて15グラムとなる。

3. Cを0.15モル生成するとAを0.15モル消費する。残るAは0.05モル、2.0グラムである。最初の反応物は合計17グラム。反応後はCが15グラム、Aが2グラムとなる。単離で余分なAを除いても、その質量が消えるわけではなく、生成物として回収する画分から外れるだけである。

4. 12を15で割って100を掛け、80パーセントとなる。限界反応物が完全に反応しても、移し替えや精製で生成物を失えば単離収率は下がる。収率だけでは原因を特定できない。

5. Bの18グラムは0.60モルで、Cを0.30モル生成するのに十分である。今度はAが制限し、Cは0.20モル、20グラムまでとなる。限界反応物が変わるため、30グラムにはならない。

6. 16を15で割って100を掛けると約106.7パーセント。残留溶媒は測定質量を増やすがCではない。この測定値は純粋で乾燥した生成物の質量としては使えない。

7. 12グラムを100グラム毎モルで割ると0.12モル。最終体積0.60リットルで割ると0.20モル毎リットルとなる。量った物質が純粋なCであることが必要であり、不純物があればこの物質量の計算は成立しない。

8. 濃度は0.20に25/100を掛け、0.050モル毎リットル。移した物質量は0.20に0.025リットルを掛けて0.0050モル、すなわち5.0ミリモルである。損失がないという仮定のもとでは、希釈してもこの物質量は保たれる。

## 確認範囲

数値計算の確認と編集上の確認は別に扱う。独立した化学内容の確認、日本語の意味の対応確認、学習者による難易度の検証、試験項目との詳細な対応付けは未実施である。この補助教材の追加は新しい想起カードの追加を意味しない。後続の解説では、化学種、モル質量、反応式の係数合わせ、限界反応物、純度、収率、濃度換算を扱う必要がある。
